菅首相が総裁選で掲げたのは「自助・共助・公助」。一見聞こえはいいが、それこそに強さと冷たさを感じる。9月4日放送のTBS系『news23』での発言はこうだ。
「自分でできることは基本的には自分でやる、自分ができなくなったら家族や地域で協力してもらう。それでできなかったら必ず国が守ってくれる。そういう信頼をされる国、そうした国づくりというものを進めていきたい──」
この考え方に激しく反発するのは森さんだ。
「『自助を最優先にする』など、政治家が言うべきではありません。政治は本来、弱者をいかに救い上げるかを最優先してセーフティーネットを築くべきです。小学校の先生ならともかく、政治家が“自分でやれることはやりなさい”というところに、競争を好む菅さんらしさを感じます」
「頑張れば面倒を見てくれる」は、いずれ「頑張らないから面倒を見なくていい」に変わる。秘書時代から培った菅首相の思考の根底にあるのが、「おれはこんなに頑張ったのだから、みんなも頑張ればいいんだ」という価値観。頑張りたくても頑張れない弱者は切り捨てられてもやむを得ないなどと考えているのなら、国のトップとしてこんなに恐ろしいことはない。
※女性セブン2020年10月15日号