引退後は「ダイエット中に食べても罪悪感がないアイスクリームを作りたい」と『Darcy’s-Guilt Free Ice Cream Labo』を立ち上げ、現在も東京富士大学の学生と研究を続けている(写真/共同通信社)
それに、目標設定がしっかりしている先輩たちを見たときに「見ている世界が違う! オリンピックを目指すなら、これくらいやらないとダメなんだ……」という驚きの方が大きくて。それで、思い切って私は田舎に戻ることにしたのです。
〈地元の金沢学院東高校に編入。まるで軍隊のようだったそれまでの練習から解き放たれた彼女は、しばし自由を満喫したという〉
地元に戻ってからは自由で、楽しかったですね~。練習相手も、練習メニューの組み立ても、一日の目標設定もすべて自分で決められたのもよかったんです。とは言え、柔道は相変わらず好きではなかったのですが、ここでやめたら、それまでの苦しい練習がすべてパーになってしまう。それが悔しくて、絶対に見返してやろうと思っていたんです。それで「まずは世界選手権に出場できる選手になる!」という目標を設定し、奮起しました。
オンとオフの切り替えでさらに強くなる
〈目標を定めた彼女は、自分で考えたメニューをこなしつつ、着実にステップアップをしていく。2003年、高校3年生のときに全日本ジュニア柔道体重別選手権大会で優勝。ドイツジュニア国際柔道大会でも優勝と、着実に頭角を現し、世界が見えてきたところで、大学進学を機に再び上京。当時、大学日本一だった帝京大学に進学する〉
最大の目標はオリンピックですが、一足飛びにはいきません。そこで、まずは、大学3年生で日本一になることに決めました。そうすれば4年生になったら実業団のかたから声をかけてもらえるので、日本代表に選ばれる確率も上がると思ったのです。
ただ、ここで思わぬ壁が現れました。ジュニアからシニアに上がり、いままで以上に自分で考えて柔道をしなければならなくなったことで、力んでしまい、結果を出せなくなってしまったのです。
「これではダメだ」と思い、思い切って柔道と少し距離を持つことにしました。私は、のめり込むとそればかり考えてしまう性格なので。オンとオフをしっかり分けるように心がけたら、気持ちが楽になりました。