ノーザンファーム生産馬は過去10年でも8勝と圧倒的な強さを見せつけている。なにしろ生産馬は過去10年の秋華賞全出走馬の3割近くにも及ぶのだ。これに社台ファーム、2014年の覇者ショウナンパンドラの白老ファーム、さらに追分ファームを合わせた社台グループ生産馬の出走は軽く半数を超え、6割近くにもなる。今回も昨年の14頭ほどではないが、ノーザンファーム4頭、社台ファーム2頭の計6頭が出走する。
かくいうデアリングタクトもルーツは社台グループ。祖母デアリングハートは15年前に黒と黄色の縦縞の勝負服でこのレースを走っている。
悩ましいのは過去4勝2着4回というディープインパクト産駒の扱い。今回も大挙6頭が出走するが、ここ3年で計16頭が出走しながら勝てていないのも事実。むしろ4頭いるキズナ産駒のうち、中山の紫苑Sで2番手につけ、最後突き放したマルターズディオサのほうに食指が動く。
JRAホームページの競馬用語辞典によれば「3代目と4代目に同一の祖先を持つと血量がその祖先の18.75パーセントとなるが、こうした馬が過去の名馬に不思議と多く、奇跡の血量とよばれている。」とある。その例としてかつての2冠馬コダマやトウショウボーイ、マックスビューティの名前を挙げつつ、「もっともそうした馬が全て走るというわけではなく、走る馬に多く見られる、ということ。」と締めている。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。