さらに10月8日、白人至上主義の武装集団が、ミシガン州知事を拉致し、州政府の転覆を図ろうとしたとして13人が逮捕された。同州の司法長官は、「この事件は氷山の一角に過ぎない」と警告する。
実際、アメリカの複数のメディアが、トランプが11月の選挙で負ければ、同様の事件が起こる危険性を指摘している。『アトランティック』誌は最新号で「親トランプの軍事集団が、数千人の警察や兵士や元兵士を募集している」と題した記事で、選挙でトランプが負けることがあれば武装蜂起も辞さない集団について伝えている。
4年間かけてトランプが分断してきた国民の亀裂は、大統領選挙というアメリカの民主主義の根幹を担う制度の意味も打ち消す危険を孕んでいる。
◆横田増生(ジャーナリスト・Support by Slow News)
【プロフィール】
よこた・ますお/1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。1993年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、1999年フリーランスに。2020年、『潜入ルポ amazon帝国』(小社刊)で新潮ドキュメント賞受賞。他の著書に『仁義なき宅配』『ユニクロ潜入一年』など。
※週刊ポスト2020年10月30日号