メディア嫌いな人々の影響をどう把握するか
さらに今回、世論調査についての別の問題も指摘された。トランプ大統領がメディアの信憑性を問題視してきたことを受けて、共和党支持者の一部にメディアを嫌う動きがあったというのだ。
これらメディア嫌いの人々は、大手メディアが実施する世論調査に回答しない。すなわち、そうした人々の声が世論調査のサンプルから抜け落ちてしまう。回答しない人が多くなれば、世論調査を大きく歪めてしまう恐れがある。こうした問題は、1つのメディアだけではなかなか対処しきれないかもしれない。
こうしたこともあって、世論調査の結果をみるときには、複数のメディアや調査機関の結果を併せ読む必要があるとされる。メディア嫌いの人々の声をどう把握するか、今後さらなる工夫が必要となるかもしれない。
法廷闘争でも選挙の大勢が覆る可能性は低い
今回の大統領選では、最終的なアメリカ全体と各州での勝敗の状況をみる限り、世論調査の結果と開票結果が大きく食い違うような事態は生じていないといえる。
ただし、開票作業そのものはまだ完了していない。ジョージア州では、選挙当局が手作業で約500万のすべての票を数え直す方針を発表するなど、州によってはまだ紆余曲折があるかもしれない。しかし、選挙の大勢が覆る可能性は低いとの見方が多いようだ。
このように、前回の選挙で問題となった世論調査の結果と選挙結果の乖離という問題は生じておらず、世論調査の結果は概ね的中したといえるだろう。
ただ、今回の選挙では、これから法廷闘争を含めてどのような動きがあるか不透明だ。アメリカの憲法では、1月20日正午に新たな大統領の任期が始まると定められている。この日に首都ワシントンで大統領と副大統領の就任式が開かれる予定だ。
来年1月20日までどのような動きがあるのか、引き続き注目していく必要があるだろう。