トランプタワーも砂上の楼閣なのか(時事)

トランプタワーも砂上の楼閣なのか(時事)

 珍しく饒舌である。何か知っているのだろうとピンときた。もう少し話を促すと、とても興味深いことを語った。

「トランプは自分の事業で10億ドル(約1000億円)以上の借金がある。年内に返済期限がくるものだけでも4億ドル以上ある。資産は32憶ドルあると言っているが、ほとんどが不動産だ。トランプのことだ、帳簿上かなり膨らませて過大に評価しているだろう。だいたい、そんなものは市場の変化で増えもすれば減りもする。売ってカネにするまで本当はいくらの価値があるかわかったものではない。彼の不動産は簡単には売れないものが多い。トランプタワーなど、よほどディスカウントしないと売れないだろう。そして現金は乏しい。4憶ドルをちゃんと返済しようとすれば、資産売却は避けられない」

 Mr. Wisdomのことだから、具体的な情報をつかんで話しているのだと思うが、情報源は聞かないのが暗黙の了解だ。さらに彼は、トランプ大統領の窮地を解説した。

「税金の問題は刑事事件になる可能性もある。すでにいくつかの捜査が進んでいるが、そもそもどんなに節税をうまくやったとしても、税金をゼロにするなんてできるはずがない。さらにセクハラなどカネと関係のない訴訟も含めると1000件以上の法的問題を抱えているとされている。今はホワイトハウスにいるから逃げ回れるだろうが、ホワイトハウスを出れば、毎日のように借金取り、弁護士、裁判所から連絡が入って、とても我慢できない不愉快な状態に落ち込むことが確実だ。他人のカネでビジネスを広げ、借金を返さなくても平気だったトランプは、大統領になって国民のカネさえ自分のもののように自由に使った。彼にとって大統領でいることは非常に重要なのだ」

 そして最後に、「トランプが再選されなくてアメリカ国民はほっとしている」と付け加えた。共和党支持なのに、なぜトランプ氏には厳しいのか聞くと、「私が支持しているのは共和党であってトランプではない。共和党はそんなに馬鹿な党ではない」と答えた。

 Mr. Wisdomの話にはエビデンスがない。税金の捜査や訴訟の件など一部は報道されている話と一致するが、本当にトランプ氏の事業が火の車で、訴訟の山に苦しんでいるかは確認できていない。とはいえ、あまりにも荒唐無稽に見える法廷闘争や、ホワイトハウスに籠城して一歩も出てこない様子を説明する有力な仮説にはなるのではないか。

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