1月10日オハイオ州リードの集会に集まった人たち
私はその日から、もらった帽子を被ってボランティア活動を行なった。なぜなら、その帽子を見るだけで、人は私がだれで、何をしているのかを、おおよそ把握するからである。
日本と違い、車社会のアメリカでは、住宅地で人が歩いていること自体が珍しい。見知らぬ顔だと不審者とも思われかねない。とくに、アジア人であるため、悪目立ちしかねない。しかし、トランプの赤い帽子があれば、人は「なるほど、トランプのボランティアが歩いて回っているのだろう」と納得してくれるのだ。
旗幟鮮明であるがため、トランプ支持者からは歓迎され、民主党支持者から罵倒されたり、詰め寄られたりするのだが、まずはトランプ支持者の話から始めよう。
私が家を訪ねようとすると、シャフィーク(39)という白人男性は、家から出てきて、ピックアップトラックに乗り込むところだった。
「今は時間がないけれど、君が被っている帽子は好きだよ。そうだ。トランプに投票するよ。絶対にね」と言って、車で走り去った。
白人男性のリン(75)は、「妻とともに長年の共和党員で、今年もトランプに必ず投票する」と言った後で、「あなたの両手は、神から与えられたんだ」と付け加える。
玄関に星条旗を掲げていたフィリップ(65)は、バーベキューの用意で忙しい、と言いながらも、こう話してくれた。
「あんたと同じで熱烈なトランプ支持者だよ。これからそんな仲間2人と一緒に、バーベキューをやるんで準備をしてるんだ。我が家の周りは、民主党支持者が多くて嫌になる。そんなご近所さんより、気の合う仲間同士の方が、飯も酒もうまいだろう」