バイデン支持者だと庭先を見るとわかる(ミシガン州ランシング)
ハリー(73)という白人男性の家を訪ね、アンケートを取り始めようとしたところ、ウォルターと名乗る40代の息子が、私たちの間に割り込んできた。
「なに、ミシガン共和党のボランティアだって。ならば、オレがアンケートに答えてやるよ」
私と同じような赤のトランプの帽子を被り、迷彩色のTシャツにもトランプの文字が入っていた。私のアプリにその息子の名前は見つからなかったが、父親の代理ということで、アンケートを始める。
「もちろん、トランプを支持するよ。投票方法だって? 選挙日当日に自分で投票するに決まっているじゃないか。郵便投票なんて不正の温床だって、トランプも言っているだろう。あれはダメなんだ。オレは共和党員じゃない。無党派としてトランプを支持しているんだ。なぜかって? トランプはこの3年間、オレたちみたいな労働者のために、多くの約束事を果たしてきてくれたからだよ。経済状態は最高だろう。株価も右肩上がりだ。白人ばかりか、黒人やアジア系の失業率も史上最も低いんだぜ。大統領選で、トランプが苦戦なんて言っているメディアもあるが、そんなのは全部フェイクニュースだ。オレたちにすれば、トランプには、どうしたってもう4年間、大統領をやってもらわなければならないんだよ」
終始にこりともせず、こちらを値踏みするような視線を外さず話し続ける。強烈なトランプ支持者でありながら、猜疑心の強さがにじみ出ていた。
◆横田増生(ジャーナリスト・Support by Slow News)
【プロフィール】
横田増生(よこた・ますお)/1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。1993年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、1999年フリーランスに。2020年、『潜入ルポ amazon帝国』(小社刊)で新潮ドキュメント賞受賞。他の著書に『仁義なき宅配』『ユニクロ潜入一年』など。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号