養育費を最後まで払わせる方法

 両親の離婚によって最も影響を受けるのは子供だ。3つ目のアドバイスとして、未成年の子供がいる場合、「親権・養育費・面会交流の3本柱を必ず確認してほしい」と後藤さんは言う。

「離婚の前に、親権者をどちらにするのかを決めなければならない。ここでももめるケースが多いですが、一度決めた親権は簡単に変えることができません。ですから、決して安易に妥協しないこと。裁判所は親権の決定にあたって、子供の環境が変わらないことを最も重視します。どうしても親権が欲しい場合は、離婚するまで決して子供と離れて暮らさないようにしなければなりません」

 養育費に関しては、支払期間が長期にわたることが多い。夫婦でよく話し合って、無理のない条件を決めるようにしたい。

「お互いの収入が大きく変わったらどうするか、支払いが滞ったらどうするかなど、将来を見据えて事前に考えておくべきです。それでも養育費の不払いは後を絶ちませんが、相手に気持ちよく払ってもらえる工夫は、できる限りした方がいい。例えば、面会交流を定期的に行うことができている親は、不払いは少ないと感じます。それに加えてこまめに子供の写真を送って成長状況を伝えたり、振込先を子供名義の口座にしたりするのが効果的です」

 面会交流は、子供にとっても、“離れている親にも愛されている”という自信や安心を得る機会になるという。子供のためにも、モラハラやDV傾向がある場合を除いて元夫と連絡を絶つのは避けた方がいいようだ。

 とはいえ、厚生労働省の調査によれば養育費を定期的に受け取れているシングルマザー家庭はたった2割。いざというときのために、元夫の自宅の住所や勤務先を控えておくといった対策も忘れずに。

「養育費を払わない元夫が、黙って転職して連絡が途絶えてしまったと、元妻の女性から相談されたことがあります。彼女は思いつく限りの知人に連絡を取り、転職先を突き止めて強制措置を執ることができました。一度給料が差し押さえられると、毎月の給与から養育費の天引きが可能となります」

 2020年4月に民事執行法が改正されたことによって、公正証書や調停調書、判決書があれば、裁判所を通して勤務先を照会することが可能になった。こちらも万が一に備えて準備しておくのが賢明だろう。

※女性セブン2020年12月10日号

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