2012年のロンドン五輪で銅メダルを獲得した際の集合写真(写真/AFLO SPORTS)
考え方が変わったのは右を切った時に、久光製薬の眞鍋政義監督(当時)に「何でもいいからポジティブに変換してみろ」と言われたことが大きいです。眞鍋監督はご自身が面白いほどポジティブで、見ているだけで感化される存在。どこかで影響を受けたと思います。
それにケガからの復帰を通して、人間切羽詰まれば何でもできると思えるようになりました。その結果、完治してないのに、左を切った10か月後に海外移籍(イタリア・セリエA)。中学3年でアテネ五輪代表候補に入ってからずっと、周りから見られ続ける環境にいたので、そこから脱却したい思いがありました。与えられるのではなく、自らの力で道を切り開いていきたかったのかもしれません。
このケガがあったからこそ、弱かった自分に覚悟と勇気が生まれた。それは間違いないと思います。
【プロフィール】
狩野舞子(かのう・まいこ)/1988年生まれ、東京都出身。ロンドン五輪で銅メダル。現在はYouTube『マイコチャンネル』を開設するなど、マルチに活躍中。
■取材・文/松永多佳倫
※週刊ポスト2020年12月11日号