気象庁は「生物季節観測」の観測対象から「動物」を全廃すると発表
五箇さんが懸念するのは温暖化により新たなウイルスが媒介される可能性だ。
「高層ビルが立ち並ぶ都会では地表面に熱が蓄積される『ヒートアイランド現象』によってさらに気温が高くなります。東京の地下は冬でも暖かいから、デング熱やジカ熱などのウイルスを媒介可能なヒトスジシマカが越冬できてしまう。この先、温暖化が止まらなければコロナ以外の感染症が拡大するリスクもあるんです」(五箇さん)
全国各地に災難をもたらす台風や集中豪雨も温暖化に原因がある。
「温暖化の影響で空気の温度が上がるとそれを海水が吸収して、海水温度が上がります。すると水蒸気の蒸発量が増えて、台風が大きく強くなったり、大気中の水蒸気をたっぷり含んだ雲が集中豪雨をもたらしたりします。また温暖化で偏西風の動きが変わったことで暖気や寒気の流れが変化したことも、世界的な集中豪雨や猛暑をもたらしています」(森田さん)
この状態が続けば、日本の四季はさらに大きく変化する可能性がある。
「日本全体の季節が南にずれているように感じられます。全国的に暖かくなるのが早くなるとともに梅雨が長くなって降水量も増えているため、今後北海道に梅雨が定着すれば、梅雨が1つの季節になるかもしれません。
一方で周囲を海に囲まれた地域は昼間に蓄積される太陽熱が夜間に海水温で冷却され、気温が下がりやすくなります。夏場は、ヒートアイランド現象でさらに暑くなる東京近郊より、海に囲まれた沖縄の方が涼しく過ごしやすくなる逆転現象が起きる可能性すらあります」(森田さん)
近い将来、梅雨が季節の1つとして数えられたり、沖縄が避暑地になるかもしれないということ。日本から四季が消える日は、すぐそこまで迫っているのだ。
※女性セブン2020年12月17日号