ゲートボールは確かに密着もしないし大声も出さないが……(イメージ)
南関東某市の市営公民館では、放課後や土日に施設を開放し、近隣の子供達が多く訪れていた。図書室やバスケットコート一面分程の多目的室、工作室もあれば、屋外の運動スペースもあった。だがコロナ禍に見舞われ、人と密になってはならないとまず全面使用禁止になった。その後、使えるようになったはずだったのだが、いつの間にか子供の姿が消えていった。高齢者の利用者が増えすぎて、利用したい子供たちにとっては居心地が悪くなり、はじき出されるような格好になっていたのだという。そこまでなら、空気に飲まれてしまっただけで済んだのだが。最近、ついに仕組みとして「子供の利用」ができなくなったと近隣住民がこぼしていた。本当にそんなことが起きているのか。
「利用者の方からのご要望が相次ぎ、子供達の利用を制限しています。子供は感染しても命の危機にはならないが、お年寄りは違うということなので。子供達が元気に走り回っていると不安になる利用者もいますし」
筆者の問い合わせに申し訳なさそうに釈明したのは、公民館の管理人だ。歯切れの悪さが、本音は別のところにあることをうかがわせた。そして、中高年利用者からの圧力があったのか、という質問には「何も無かったといえば嘘」と、認めたのである。公民館の近隣住人がいう。
「公民館の広場で子供達が遊んでいたら、公民館からおじいさんが何人かで出てきて、コラーと怒鳴る。子供達は慌てて逃げる、みたいなことが何度か続いて、もう公民館には子供が来なくなりました。逆に高齢の利用者はどんどん増える。コロナで病院に行けなくなり、公民館が溜まり場になっていると聞きました」(近隣住人)
こちらの公民館に付属する公園も、つい最近子供達のボール遊びが禁止になったばかりだが、老人達は我関せずとゲートボールを楽しんだり、中には缶ビールを片手にたばこを燻らす老人の姿も。それだけでなく、早朝から大音量のスピーカーを使ってラジオ体操をやってみたり、通行人をものともせず半裸で乾布摩擦をしたりと、こちらも「公園が乗っ取られた」状態だという。挙げ句の果てには……。
「近くの広場のベンチにも『お年寄り専用席』とシールが貼られたり……。指をくわえて見つづけるだけだと、別の公園や施設も、若者が使えなくなるでしょう」(近隣住人)