ビジネス

箱根登山鉄道「マヂラブ野田でも体が揺れることはない」理由

2020年7月、約9か月ぶりに営業運転を再開していた箱根登山鉄道(時事通信フォト)

2020年7月、約9か月ぶりに営業運転を再開していた箱根登山鉄道(時事通信フォト)

 漫才やコントなどで、鉄道にまつわるネタは以前から多いが、マヂカルラブリーが「M-1グランプリ 2020」で披露した姿は、つり革につかまりたくなくて頑張りすぎる様子を軸にした、予想外の角度のものだった。ライターの小川裕夫氏が、ツッコミの村上から揺れて当然な事例としてあげられた箱根登山鉄道は、実際にそんなに揺れるのか揺れないのかについてレポートする。

 * * *
 12月20日にテレビ朝日系列で放送された「M-1グランプリ2020」で優勝したマヂカルラブリーは、決勝ラウンドで「電車内でつり革につかまりたくない」というネタを披露。激しく揺れ動く電車内で、無意味に踏ん張る様子をコミカルに演じて笑いをとった。

 ネタ中、ボケ役の野田クリスタルは体を激しく揺らした。その様子を見て、相方の村上が「箱根登山鉄道もこんなに揺れてなかったけど」とツッコミを入れている。

 村上が例示した箱根登山鉄道は神奈川県の小田原駅と強羅駅を結ぶ路線で、箱根湯本駅までは小田急の電車も乗り入れている。しかし、その先の箱根湯本駅-強羅駅間は急勾配や急カーブがあるので箱根登山鉄道の車両しか走らない。

「箱根登山鉄道の宮ノ下駅─仙人台信号場間と小涌谷駅─彫刻の森駅間には、80パーミルという急勾配の区間があります。80パーミルは、1000メートル進むと80メートルの高さを登る勾配です。箱根登山鉄道には、それほど急勾配の区間があります。また、急勾配だけではなく、最小半径30メートルという急カーブもあります」と話すのは箱根登山鉄道の鉄道部担当者だ。

 この説明だけを聞いても、鉄道に詳しくないとピンとこないが、通常の鉄道ではおおよそ35パーミルを超えると急勾配と言われる。また、鉄道はその構造から急角度で曲がる運転は苦手だ。カーブの最小半径の基準は列車のスピードによっても異なるが、おおよそ最小半径250メートル以下になると急カーブと認識される。当然、勾配と急カーブは車両を大きく揺らす原因になる。しかし、後述する技術によって、乗客は大きな揺れを感じることはない。マヂカルラブリーがツッコミで演じたのは、あくまでも漫才のネタだ。

 箱根登山鉄道は雄大な山岳風景を楽しめる鉄道として人気があり、1979年に同じく山岳鉄道として有名なスイスのレーティッシュ鉄道と姉妹鉄道提携を締結。日本語の駅名板を贈呈するといった形で交流を温めている。日本という枠を超え、世界にも名を轟かせる山岳鉄道でもある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
緻密な計画で爆弾を郵送、
《結婚から5日後の惨劇》元校長が“結婚祝い”に爆弾を郵送し新郎が死亡 仰天の動機は「校長の座を奪われたことへの恨み」 インドで起きた凶悪事件で判決
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン