日本でも台頭の兆し“ソバーキュリアス”とは
WHO(世界保健機関)が、タバコの規制の次に標的としそうなのがアルコール分野であることに加え、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の健康分野でもアルコール関連問題が挙がるなど、酒類メーカーにとってローアルやノンアル比率引き上げは、確かに課題になってきてはいた。
また、こうしたいわば外圧的な要因だけでなく、コロナ禍前から海外では、敢えてお酒を飲まない、あるいは少量しか飲まない、“ソバーキュリアス”と呼ばれる人たちが、若年層を中心に拡大しているという背景もある。横文字のソバーキュリアスほど語感がスマートでクールな印象はないものの、日本でも最近、“ゲコ(下戸)ノミスト”という言葉を目にすることが増えている。
かつては、「クルマの運転があるから」、「休肝日だから」、「持病がある」、「病み上がりだから」、あるいは、下戸やお酒が弱い人が「酒席で仕方なく注文する」など、積極的な理由からとは言い難かったノンアル商品の選択が、海外のソバーキュリアス台頭を含めて消費者の意識もかなり変わり始め、そこにコロナ禍での新生活様式のトレンドも乗ってきたといえそうだ。
もちろん、各メーカーの企業努力によってノンアルビール自体の改良も重ねられ、「以前に比べて飲みやすくなった」「美味しくなった」という声も増えてはいる。一方で依然、「ノンアルビールは、通常のビールに比べて香りや味にクセがあって馴染めない」「香料や人工甘味料などの添加物が多い。カロリーゼロでなくていいから添加物ゼロにしてほしい」といった指摘もよく聞く。
このうち、添加物に関してはたとえば、キリンが2020年3月から発売した「グリーンズフリー」は無添加で香りや味にクセもなく、スッと飲める印象だ。