大手メーカー品以外で人気高いノンアル飲料は?
ネット上でレビュー評価が相対的に高いノンアルビールを探してみると、大手メーカー品以外で2つ、明らかに露出度が高い商品があった。1つは、日本ビールが販売する「龍馬1865」。もう1つが、パナバックが輸入販売する「ヴェリタスブロイ」だ。
大手メーカー以外でも評価の高いノンアルビールがあり、市場拡大を後押ししている
そこで筆者も両商品をアマゾンで購入し、試してみた。まずは「龍馬1865」。缶デザインにはドイツ麦芽100%、プリン体ゼロ、添加物ゼロ(炭酸以外)の文字が刻印されている。飲んでみた印象は、添加物ゼロと謳うように変なクセはなく、前述したキリンの「グリーンズフリー」の味わいに近い印象で、違和感なく飲めた。
続いて「ヴェリタスブロイ」。こちらは330mlと、通常の350ml缶に比べてやや容量が小ぶりだ。同じように、缶デザインには添加物不使用の文字があるほか、ドイツ直輸入、ビール純粋令仕様とある。ビール純粋令とは、「ビールは麦芽・ ホップ・水・酵母のみを原料とする」という内容の一文で知られるものだが、それ以上に目を引いた文言が“脱アルコール”の文字だった。
これは一度、正真正銘のビールを作り、そこからアルコールだけを抜き取る製法だが、日本では同製法は認められていない。実際に「ヴェリタスブロイ」を飲んでみると、味わいはライトで、「バドワイザー」からアルコールを抜いたような印象だった。
ノンアル市場拡大のカギ握る「脱アルコール製法」
脱アルコール製法による「ヴェリタスブロイ」は、明らかに他のノンアルビールとは香りも味も違って、一線を画していた。文字通り、本物のビールからアルコールだけを抜いた感覚で、一言でいうなら美味しい。輸入者であるパナバックのホームページのニュース欄には、以下のような挑戦的ともいえるアピール文もある。
〈市場環境が激変すれば、10年後にはビール市場の30%がノンアルコールにとって替わられる可能性がないとは言い切れません。そんな中、ビールの代替需要しか視野になく、香料で人工的に味付けしたビール風味飲料に頼っていて、環境激変の荒波を乗り切れるでしょうか? パナバックは本物のビールからアルコールだけを抜いた脱アルコールビール、添加物ゼロで安心・安全な栄養補助飲料とも言える『ヴェリタスブロイ』を提案します〉
日本ではアルコールを除去する製法を採用した場合、一旦は実際のビールを製造するために酒税法が適用されてしまうし、相応の設備も必要になる。結果、日本製の脱アルコールビールは存在していないわけだが、これは非常に残念だしもったいない。
醸造技術力が高い国内の大手ビールメーカー各社から、もし脱アルコール製法によるノンアルビールが登場したら、ノンアルビールの市場規模は現在より、飛躍的に拡大する可能性が高いのではないだろうか。