全仏オープンは観客の数が制限された(提供:Team Macy沢田昌昭)

全仏オープンは観客の数が制限された(提供:Team Macy沢田昌昭)

これにより上位の選手ほどポイントを獲得しやすくなり、今までのようにランクを上げながら様々な試合に出て、ポイントを足していく「ステップを踏む」スケジュールだとその差は埋まらない。

 どこかのタイミングで獲得ポイントの高さを追いかけるスケジュールに変更しなければグランドスラムに届かないと考えています。これはまさに、プロと同じ状況が起こるということです。

 ジュニアの選手が獲得ポイントを追いかけるためには、上位グレードの開催が多い欧州の大会に参戦し続けることが絶対必要な状況です。それを考えると、国内のスケジュールの合間を縫うように国内ジュニアがいくらトライしても、上のグレードを地の利を生かしてどんどんトライしているヨーロッパや諸外国から遅れを取るのは否めない。ましてや今、日本から海外に行くことさえままならない状況です。

 国内の課題は、国際ポイントを獲得できる大会が少ない点にもあります。海外で戦う遠征費も高く、おいそれと参加できません。現状、国内テニスの人口はピーク時の4分の1まで減少しており、さらに、テニスコートも2020年は昨年と比べて30%以上減ってしまいました。スポンサーとなっていた企業もテニスから次々と撤退しており、今、日本の国内ジュニアはかなりのピンチに立たされています。しかしそんな中で国内でも今できることを100%する。プロ選手達や関係者の勇気ある行動によって国内トーナメントや練習会、数年後には国内プロテニスリーグなどの発案が開始され始めております。これは明るい兆候です。

これからの「withコロナ」に向けて…

 いま、個人が発信出来やすい時代であり、今自分達ができる可能性は無限にあります。今までにはなかった新しい形を模索するしかありません。我々は前に進み、試み、日本スポーツの未来へつなげていくしかないと考えています。

 自粛して生活をしていてもコロナの感染を100%ゼロにすることはできません。そして、感染した人は決して悪者ではないのです。感染予防対策を万全とした中で昨年10月28日からは三菱全日本テニス選手権(東京・有明テニスの森)が無観客で開催されました。12月20日、広島県福山市ではUSFスポーツフェスティバルが開催されました。大会、イベントをキッカケに国内スポーツが少しでも明るく開催できる前例になってくれたらと思っています。スポーツは「生きる」ためには優先順位は低いかもしれませんが、多くの人々の心にメッセージや生きるための力を与えてくれると思います。ここからがスポーツ界(テニス)の本当の意味でのwithコロナの始まりなのかもしれません。私も国内テニスの発展に寄与したいと強く考えています。

【Profile】
笹原龍●東北選抜ジュニア優勝、東北私学ジュニア2年連続優勝、伊豆ロビィングオープン優勝(全日本優勝者に勝利)US Hawaii open ダブルス、US Orlando open、優勝などアジア、欧州でも優勝多数。海外を拠点に活躍する傍ら、「世界で戦えるジュニア」の育成活動や国内テニス普及活動にも精力的に参加。2015年にはアメリカテニスアカデミーにて日本人ヘッドコーチに任命されアジアとアメリカの架け橋となり、ジュニア世界大会では最高峰のエディーハー、オレンジボール優勝ジュニアのサポートに携わる。また、自身のこれまで遠征した国々で交友を作りグローバルにイベント活動やジュニアサポートなども行っている。人気急上昇中の競技「Touch tennis」では現在国内ランキング 1位、世界ランク107位、2020年度はTouch tennis Grand Slam に挑戦予定だったが参加を断念。

■写真提供/沢田昌昭、笹原龍

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