国内

菅政権の経済政策に専門家から批判殺到 トヨタ社長もダメ出し

菅政権の経済政策に各方面から厳しい視線(写真/共同通信社)

菅政権の経済政策に各方面から厳しい視線(写真/共同通信社)

 後手後手に回ったコロナ対策で菅政権が窮地に陥っている。菅義偉・首相は「感染拡大防止と経済の両立」を掲げたが、その対応には、政府のコロナ分科会の経済専門家からも公然と批判が出ている。

 経済学者の小林慶一郎氏(東京財団政策研究所研究主幹)は毎日新聞(1月9日掲載)のインタビューでこう指摘している。

〈勝負の3週間が始まった11月に強い策をやって12月上旬までに感染者が減り、年末年始の催しが一定程度可能となっていれば、経済的な損失も少なかったはずだ。「Go To」を進めることで外食や旅行に進んで行くべきだというメッセージになり、経済活動を活発にさせる流れとなって、人々が感染にあまり注意を払わなくなった側面はあると思う〉

 安倍晋三・前首相のブレーンも菅政権の経済政策に異議ありという。元財務官僚で安倍政権の内閣官房参与を務めた本田悦朗・元駐スイス大使が語る。

「財政資金を使って旅行・外食の需要を喚起するGo Toキャンペーンを実施すると、ほぼ確実に感染が拡大します。需要喚起には国民が移動し、接触するのが普通だからです。そのため安倍政権の閣議決定では、Go Toキャンペーンは感染収束後に実施されるべき政策とされていた。

 感染防止と経済を回すことはトレードオフ(二律背反)の関係にあり、両立を目指す菅政権の政策は不可能を強いるもの。だから“二兎を追う者は一兎をも得ず”になっている。経済を回すには一刻も早く、感染封じ込めを優先する必要があります」

 経済界からは、感染対策の失敗を機に菅政権の「カーボンニュートラル」(*注)などの経済政策にも批判があがり始めた。

【*注/二酸化炭素の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態になること。菅政権は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすると宣言】

 日本自動車工業会会長の豊田章男・トヨタ自動車社長は政府が2030年代にガソリン車の新車販売をなくすことを検討していることに対し、会見(12月17日)で「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」と懸念を表明。電気自動車(EV)は製造や発電段階で多くの電力を消費し、火力発電の割合が高い日本ではEV製造がCO2を多く排出すると指摘した上で、「国のエネルギー政策の大変革なしに達成は難しい」と厳しい言い方をした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
男が立てこもっていたアパート
《船橋立てこもり》「長い髪に無精ヒゲの男が…」事件現場アパートに住む住人が語った“緊迫の瞬間”「すぐ家から出て!」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン