なぜ帯状疱疹を発症する人が増加したのか。感染症を専門とする朝倉医師会病院の佐藤留美さんが指摘するのは、新型コロナによる影響だ。

「帯状疱疹の原因は、水疱瘡と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスです。水疱瘡は多くの人が幼少期にかかり、1週間から10日前後で治癒します。しかし、治った後も体内にウイルスは潜伏している。加齢などによって免疫力が低下したときに、再びウイルスが活性化すると、帯状疱疹となって現れるのです。

 いま、帯状疱疹を発症する人が増えているのは、新型コロナによる自粛生活のストレスや運動不足などにより、免疫力が低下していることが原因だと考えられます」(佐藤さん)

 和歌山県に住む主婦の藤田陽子さん(仮名・49才)は昨夏に帯状疱疹を発症。彼女には心当たりがあるという。

「足の付け根とお腹の間に帯状の発疹ができ、すぐに病院を受診しました。コロナ禍で娘の就職活動が思うように進んでいないうえ、私自身もパートのシフトが激減して経済的な不安が大きくて……そうしたストレスから免疫力が低下していたのかも」

 2017年に厚生労働省が発表した感染症流行予測調査によると、日本では20才以上の男女の95.2%が水疱瘡のウイルスを保有している。つまり、ほとんどの人が帯状疱疹を発症する可能性があるわけだ。

 また、1997年から2006年に宮崎県で約4万8000人の帯状疱疹患者を対象に行われた研究調査「宮崎スタディ」によれば、女性の方が男性よりも1.25倍発症しやすく、さらに2回目の発症では、女性の方が1.45倍も多いという。コロナ禍のいま、女性は特に警戒が必要なのだ。

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