学術会議の問題では、国民の抗議の声も大きかったのに菅氏は正面から答えることはないまま(時事)
菅氏は緊急事態宣言を出すに際して、飲食店の時短要請をしている北海道や大阪では感染者が減っていると強調し、暗に「それをやらない1都3県が悪い」と印象づけようとしていた。しかし、その大阪など7府県にも1週間後に宣言を出すことになり、前の発言との矛盾を追及されると、「大阪の感染者が急増したのは直前のことであり、先週の段階では、専門家の皆さんからもよく原因を分析すべきである、そうした評価でありました」と、今度は専門家に責任を押し付けた。これについても岡本氏の評価は厳しい。
「菅首相によく見られる専門家に判断を委ねる言い方の典型ですね。専門家の意見を尊重するというのはいいですが、その意見を踏まえて首相自身がどう考えたのか、総理大臣としての知見と判断をしっかり語るべきです。その点では小池百合子・東京都知事のほうが上手ですね。専門家と並んで記者会見していても、自分の口からすらすらデータや数字を出す。決断している人がそれだけ知見があるという安心感を与えます。
国民からすれば、イニシアチブは総理大臣に持っていてほしいのに、なんでも専門家、専門家と言えば、イニシアチブがないように見えてしまいます。菅首相が専門家と言うたびに、国民には不安を与えていると思います」
大嫌いだった専門家にすがり、そのせいで国民の支持を失っているとしたら、必死の政権延命策までが、なにからなにまで判断ミスということになる。もう保身はやめて、せめて国民の命と生活を守る施策については、本当のことを本音で語ってもらいたいものだ。