国内

「専門家が」と言うたびに信頼を失う「菅話法」のダメダメ

会見ではコロナ分科会の尾身会長を隣に立たせ、「専門家」を連呼(時事)

会見ではコロナ分科会の尾身会長を隣に立たせ、「専門家」を連呼(時事)

 思えば、菅内閣の最初のつまずきは、日本学術会議が推薦した会員候補のうち、過去に政府に批判的な発言があった6人を任命拒否した問題だった。菅義偉・首相はなんでも自分で決めたがる「俺様」タイプと言われており、自分の方針に逆らうご意見番は、はじめから排除しておきたかったのかもしれない。

 ところが、自分の判断ミス(あるいは不作為)でコロナ第3波が広がってしまうと、今度は何でも「専門家の意見を聞いて……」と、専門家任せにしているのだから皮肉である。そんなに専門家の意見を尊重する謙虚さがあるなら、任命拒否した学術会議の候補をさっさと任命すればいいと思うが、そちらのほうは国民の関心も薄れたと見て頬被りしたままだ。

『週刊ポスト』(1月25日発売号)では、「菅語録」を分析して、何が間違いなのか、嘘なのか詳しく検証しているが、そもそも会見も答弁も下手くそだと批判される菅首相の話術について、専門家はどう見ているのか。コミュニケーション戦略研究家で、エグゼクティブに話し方のコーチングを行う株式会社グローコム社長の岡本純子氏は、なんでも「専門家」を出して逃げようとする菅話法には問題があると指摘する。

「Go To トラベルが第3波を招いたと批判されていた昨年12月11日に、菅首相は『移動では感染しないという提言もいただいていた』『いつの間にかGo Toが悪いことに』と語っています。ここで気になるのは、何かあると専門家の意見を持ち出す点です。それはすなわち、自分はすべてを把握していないと言っているのと同じです。それなのに、自分がやりたい政策であれば押し通すという姿勢も示しています。やりたければ専門家が懸念していても押し通す。つまり、専門家に頼っているのに、その専門家と一体ではないのです。

 Go Toについての説明では、ほとんどWhy(なぜ)が抜けていました。国民は、なぜその政策をとるのか、なぜ推進すると判断したのかという理由が知りたい。『トラベル事業が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは、今のところ存在しない』とも言っていましたが、エビデンスがまだないというだけで、なぜトラベル事業をやることにしたのかという説明がありません。これでは世論は納得しません。

 ニューヨークでコロナが猛威を振るっていた時、クオモ知事は毎日長時間の会見を続け、感染対策を訴えました。その時点でのデータをきっちり示し、今後の見通しを説明していました。国民が求めるのはそういう説明です。菅首相の説明は、結論や要点だけ話して、あとは『わかってね』と言っているだけです」

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
【追悼】釜本邦茂さんが語っていた“母への感謝” 「陸上の五輪候補選手だった母がサッカーを続けさせてくれた」
週刊ポスト
有田哲平がMCを務める『世界で一番怖い答え』(番組公式HPより)
《昭和には“夏の風物詩”》令和の今、テレビで“怖い話”が再燃する背景 ネットの怪談ブームが追い風か 
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト