東京五輪の国内スポンサー「中止で苦境」の深刻状況

東京五輪の国内スポンサー「中止で苦境」の深刻状況

 ほかにJTB、東武トップツアーズと大手旅行代理店は3社がスポンサーを務める。大会チケット販売を担う旅行代理店は観戦チケット込みの五輪ツアーを販売している。

 昨年11月に大会組織委員会は希望者に観戦チケットの払い戻しを受け付けたが、国内向けに販売済みの445万枚のうち約18%の81万枚分しか申請がなかった。もし中止になれば、残りの82%の分のチケットやツアーのキャンセルがのしかかることになる。

 同様に経営難に陥るリスクがあるのが航空各社だ。池田氏が続ける。

「オフィシャルパートナーの日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は、2020年度の予想売上高が前年比で6割前後の減少です。『営業活動によるキャッシュ・フロー』を見ても1000億円以上のマイナスになっています。政府は五輪開催による訪日観光客を4000万人と見込んでおり、これが失われることは航空業界にとって死活問題です」

 両社は五輪特需を見越して数年前から大型機を目玉とする新型航空機への1兆円規模の投資を進めてきたものの、納入延期となっている。

 航空会社と関係の深い「空港」も厳しい。経済ジャーナリストの福田俊之氏がいう。

「羽田空港ビルを運営する日本空港ビルデングは、2020年度の350億円の赤字に加えてこれまでの設備投資の負担もある。五輪に向けた滑走路の拡充などのために2016年から1750億円を先行投資してきただけに、旅行客需要減少の影響は大きい」

 同様に成田国際空港も2018年から、空港内の案内カウンターやトイレなどの「ユニバーサルデザイン化」のために50億円規模の投資をしている。

 スポンサー企業には含まれないが、五輪でのインバウンド需要を見越して建設・開業ラッシュが続いてきた「ホテル業界」も苦境に立たされている。ホテルチェーン大手のアパグループはコロナ禍により前期(2020年11月期)連結決算で経常利益は前年同期比で300億円以上マイナスの20億円程度だった。9割以上減益という深刻な状況だが、今年も新たに21の施設・4000室超の新規開業を控えている。

※週刊ポスト2021年2月12日号

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