少年時代は渓流釣りに明け暮れていたという
「当時の私は、いずれ田舎に帰らなきゃまずいだろうな、と漠然と考えていました。だから、それまでは東京で自分の好きなことをやろうという程度でした。もう一度人生をやり直して、大学に入ったほうがいいんじゃないかと思ったんです。こっちで働きながら学びたい。それは両親に相談したわけでもないけど、どこかの大学に入らなきゃまずいなと」
さしたる目的もなく、問題意識も抱かずに東京暮らしを始めたというのは、正直なところなのだろう。菅の場合、集団就職と言いながら、地方出身者が職を求めて都会にやってくるケースとは明らかに異なる。あるいは歌手や俳優などの有名人になろうとして上京する野心とも違う。
とどのつまり、菅の上京は実父か地味な東北の暮らしぶりから逃げたかったに過ぎない。単なる家出のようなものである。
*森功・著『菅義偉の正体』(小学館新書)より抜粋。文中一部敬称略。