国内

阿部定、太宰治 生死をかけた危険な「日本の禁断愛」の形

aa

“禁断愛”はいつの世も女性たちの心を揺さぶる

 古くから、人々の大きな関心実なり続けているのが「恋愛」だ。日常にあるようなささやかな恋愛はもちろん、普通に暮らしていたら味わうことができないような“禁断の愛”もまた、人々の興味をひく。たとえば、韓国の令嬢と北朝鮮の軍人の愛を描く韓国ドラマ『愛の不時着』などは、まさに“禁断の愛”を描いて人気となった作品だ。

 さらに、人々の興味はより深い部分へと進んでいく。単に“禁断の愛”というだけでなく、生死が絡んでいくような壮絶な愛が、世間を騒がせることも少なくない。コラムニストの辛酸なめ子さんの視点を混じえ、日本社会を揺るがした愛の形を振り返る。

危険な情事の深みに堕ちて

 アブノーマルな世界だからこそ自分のすべてを曝け出してしまいたい。踏み込めば抜け出せないそこは危険地帯……。

【阿部定】

 1936年5月18日、東京・荒川区の待合(いまでいう「ラブホテル」のようなところ)で阿部定(消息不明)が愛人の石田吉蔵(享年42)を殺害。局部を切り取って逃亡した。石田は定が住み込みで勤める料理屋の経営者で、事件は駆け落ちの途中で起きた。

 ふたりは交わりの際に首を絞める、いわゆるSMプレーで快楽を高める行為を行っており、主に定が石田の首を絞めていたという。情事の後、眠る石田を見た定は「吉蔵を永遠に独占するためには殺すしかない」と考え、腰ひもで絞殺。石田の遺体に「定」と刻み、シーツに「定吉二人キリ」と血文字を残し逃走。2日後に逮捕された。

「阿部定は仲居になるまでに、芸者や高級売春婦として生計を立てていました。ずっと男から性の道具として消費されていて、どこかに男性に対する恨みや怒りがたまっていた。それが、局部を切り取るという行為につながったのだと思います。

 愛人との間に愛はあったと思いますが、ふたりの関係に希望はなかった。堕落しながら首絞めプレーを極めていけば、そこに残るのは死しかありません。ワケあり人生で辿り着いた阿部定が愛人と出会ったとき、もしかしたら、すでにふたりはそうした最悪の結末を予感していたのかもしれません。阿部定はそんな負のオーラを醸し出す魅力的な女性だったのでしょう」(辛酸さん)

関連記事

トピックス

日本のブライダルファッションの先駆け的存在、桂由美さん
《芸能人も多数着用》桂由美さんが生前嘆いていた「ナシ婚」 ウエディングドレスで「花嫁を美しく幸せにしたい」強い思い
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン