人工内耳の仕組み
近年、補聴器は小型・軽量化が進み、装着しても目立たないような機器も登場。それらの補聴器でも効果がないほど悪化した場合は人工内耳が保険承認されており、聞こえ回復の選択肢が広がっている。
「人工内耳は蝸牛の仕事の代行をする機器です。その仕組みは音を集めて電気信号に変換する対外装置と内耳に留置の受信装置から伸びた20個ほどの電極を蝸牛内部に挿入。つまり、この20個ほどの電極が蝸牛の神経細胞を直接刺激して電気信号を脳に伝えるのです。補聴器は耳穴に挿入しますが人工内耳は埋入のため、ほとんど違和感なく日常生活を過ごせます」(松延准教授)
人工内耳埋入術は全身麻酔を行ない、手術時間は約3時間。術後は聞こえの調整を行なうマッピングが必要で、入院期間は6日間程度だ。
聞こえの確保は認知症のリスクを減らし、人生100年時代を元気に暮らすためにも欠かせない。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2021年2月19日号
松延毅 日本医科大学耳鼻咽喉科学教室准教授