まず、逃げ切れる実力がある。そして前走大敗、馬券の妙味だ。さらに鞍上が減量騎手で逃げ気配プンプン。控えての埋没が一番困る。そしてやはり単騎逃げが叶いそうな場合。さらにさらに、前述の【3】を発展させて「人気の差し馬に外国人ジョッキーが乗る場合」。ルメール、デムーロといった腕利きは、実はゲームメーカーではない(と、ある調教師が断じた)。彼らは綿密な予習に基づき、他馬に流れを作らせて最後に差し切る。でもそうそう思い通りにはいかんもんです。他馬が外国人騎手の仕掛けを気にしてペースが緩くなり、逃げ馬に好都合となるかもしれない。そこで一句。後続の警戒しり目に逃げ軽快。
【プロフィール】
須藤靖貴(すどう・やすたか)/1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。
※週刊ポスト2021年2月19日号