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80才を超えて脳が硬直化
今度は脳機能の観点から探ってみよう。脳科学者の塩田久嗣さんの話。
「アルコールが回ると脳の理性を司る前頭葉の働きが抑制されて、言動が感情的になります。人間は昼間の生活や仕事においてはさまざまな制約があり、なるべく感情を出さないようにしますが、夜の会食でお酒が入ると『本音』が出やすくなるのです。
現代はストレスが多い時代ですが、人間は言いたいことを言うとストレスが発散され、その結果、脳内の報酬系と呼ばれる部位が活性化して気持ちよくなります。するとその気持ちよさを求めて、飲み会に行くようになります」
そうした行為が長期間続くと、本気で会食をやめられなくなる。
「ある行為を長く続けると、脳内の帯状回という部分が活性化されて、その行為を反復することが習慣になります。例えば会食で帯状回が活性化するようになると、その習慣を自ら変えることが難しくなる。薬物依存やアルコール依存と同じです。強制的にやめさせれば脳の働き方が変わりますが、やろうと思えばやれる状況で会食をがまんすることはかなり困難です。
しかもその習慣が何十年も続くと、脳の構造が習慣に合わせて硬直化されていきます。二階さんのように80才を超えたかたが長年の習慣を変えることはほぼ不可能だと思われます」(塩田さん)
東京大学ゲノム人類学研究室教授の太田博樹さんは、政治家の会食について、「時代感覚のなさが要因では」と語る。
「日本人を含む東アジアの人類集団にはお酒に弱い遺伝子タイプが一定程度存在します。にもかかわらず、日本人男性が夜の会食を好むのは、文化的な習慣の影響と考えられます。特にデジタル化が遅れると、オンラインでやるような仕事も会食を伴わないとできないケースも出てくるでしょう。政治家が会食するのは政治の世界のデジタル化が遅れているからであり、お酒の責任にしたら、お酒がかわいそうです」
確かに「会食も仕事」と口にする若い世代はあまり見なくなった。