お笑い評論家のラリー遠田氏は、人気絶頂の“ボキャブラ時代”も浮かれることなくマイペースに活動し続けてきたことが、つぶやきシローが“一発屋”で終わらなかった理由だと指摘する。
「つぶやきシローさんは“あるあるネタ”の先駆けのような存在です。まだ“あるあるネタ”という言葉もない時代に、独特の目線で日常生活におけるささいな怒りや違和感を漫談ネタにして一世を風靡しました。
今でもツイッターで一言ネタを発信し続けており、そのネタのクオリティは全く落ちていません。つぶやきシローさんはかつての人気絶頂期にもあまり浮かれた様子はありませんでした。そうやってマイペースに淡々と活動を続けてきたからこそ、長く生き残っているのだと思います」(ラリー遠田氏)
2009年に開設し、1日1回“あるあるネタ”を投稿しているつぶやきシローのTwitterは、現在100万人弱のフォロワーを擁する人気ぶり。確かにつぶやきシローの芸風とTwitterは非常に親和性が高いと言える。
10年以上にわたりほぼ毎日自らの“ネタ”を発信し続けている芸人は、それだけで稀有な存在だ。流行の浮き沈みに流されることなく、持ち前の継続力で淡々と切れ味を磨き続けている“あるあるネタ”だからこそ、「3月生まれの悲喜こもごも」というニッチな層をターゲットにした新刊でも注目を集めるのだろう。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)