マンションがどこにできるか分からない
新築マンションを商品の一種だと考えれば、最も重要な情報は「どこにできるか」ということである。それを明解に表すのは「現地案内図」と呼ばれる図版になる。マンションができる場所を分かりやすい地図にして表したものである。
新築マンションの購入を検討する方が物件のオフィシャルページを閲覧した際には、真っ先に見てみたいのが現地案内図ではなかろうか。
驚いたことに、その現地案内図を表示していないオフィシャルページがあるのだ。複雑な構成になっているオフィシャルページの隅から隅までチェックしても、現地案内図を見つけることができなかった物件を、私はこれまで何度も見てきた。
たいていは駅から遠く離れていて、「こんなところに……」とため息が出るような場所にできるマンションの場合だ。売り主は消費者がその場所を見ると即座に広告を見ること自体を止めてしまう、と恐れているのだろう。
新築マンションの売り主側というのは、消費者側に対して見せたいものを見せ、見せたくないものはなるべく隠そうとする傾向にある。これは財閥系の大手から小規模な売り主までに共通している習性と言っていい。
そのマンションがどこにできるか、ということはごく基本的な情報である。オフィシャルページやチラシに表示しなくても、消費者が知ろうと思えば分かってしまう。
例えば、不動産のポータルサイトの「スーモ」を見れば、物件ページの最初に住所の表示があり、その右端に「地図を見る」というテキストが表示されている、そこをクリックすれば現地がマーキングされているグーグルマップに飛ぶようにリンクが張られている。
消費者はその程度の作業をこなすだけで、現地がどこにあるのかを知ることができるのだ。それだけのカンタンな操作で分かってしまう情報までをも、オフィシャルページでは隠してしまおうとする売り主側の浅はかな行為は、呆れるばかりである。