落合陽一氏
車椅子の自動運転化にも取り組んでいます。遊園地のアトラクションなどでは決まったコースなら自動で運転できる乗り物が盛んですが、実世界にも入ってくるのは当然の発想で、車椅子も当たり前にできないとおかしいですよね。いまは子が老親の車椅子を押すのが美談だったり、介護スタッフがすぐ側にいることが良いケアだと認識されていたりしますが、いずれ、「昔の人類は車椅子を手で押していたのか」と不思議がられるようになるはずです。
少子高齢化で介護人材の人手不足はより一層、深刻になっていくと考えられます。車椅子の自動運転化は、利用者の利便性向上とともに、介護する側の負担軽減にもつながると考えています。
車椅子を遠隔操作できるようになれば、介護施設で入居者を一斉に食堂に連れて行くこともできるでしょう。新型コロナの発生により、感染防止のために介護職員を減らし、対人接触をなるべく避ける工夫も必要になっています。その意味でも、「手で押さなくていい車椅子」は重要な技術だと考えています。
※週刊ポスト2021年3月12日号