「入院」すれば国会でも追及されない(時事通信フォト)
雲隠れ入院中はどんな心境なのか。
接待問題を追及する立憲民主党の辻元清美・代議士は山田氏について、「問題が発覚した時に最初に総理も辞任を認めていれば、入院に至らなかったのではないか」と同情的なコメントをしたが、実は、同じ立場に立たされたことがある。
かつて辻元氏は秘書給与ピンハネ事件で議員辞職し、参考人招致が決まると松戸の医院の「3週間の入院加療が必要」という診断書を国会に提出して延期させた。
退院後の国会招致(2002年4月25日)で自民党議員から「松戸の医院に入院していたのか」と質問されるとこう答えた。
「私は、辞職後、体調を壊しまして、複数の病院に入院をいたしました。そして、お世話になりました。しかし、いろいろな報道関係の取材などもございまして、その(病院の)名前はちょっと差し控えさせていただきたいと思います」
すると自民党議員はこう理解を示した。
「わかりました。マスコミの取材が大変なので医院を変えざるを得なかったということは、理解できるところでございます」
与野党ともに“明日は我が身”と疑惑隠し入院を黙認し合ってきたことがわかる。
VIP用の個室がある
政治家や高級官僚の“御用達”とされるのは、大平正芳・元首相が入院した国家公務員共済の虎の門病院、脳梗塞で倒れた小渕恵三・元首相が緊急入院した順天堂医院、安倍晋三・前首相が検査を受けていた慶大病院などが知られている。いずれも“VIP患者”のための個室があり、出入りが厳重にチェックされるなど取材は困難で、情報管理も厳重だ。政治評論家の小林吉弥氏が語る。
「政治家や官僚が進退窮まると病院に逃げ込むのは昭和40年代の佐藤内閣の後半には始まっていた。ベテラン議員になるとそれなりに病院とのパイプがあるが、基本的にはセキュリティがしっかりした大病院ということになる。逃げ込む場所だから料金が高くても情報が漏れないことが一番重要なわけです」
コロナ禍のなか、政治家や官僚の“逃亡先”として、貴重な病室が使われていいはずがない。
※週刊ポスト2021年3月19・26日号