「山梨県知事の花見発言にクギ」の加藤官房長官

 東京の花見は3月27、28日あたりがピークになるのだろうが、花見といえば今月に入ってちょっとした論争があった。きっかけは、山梨県の長崎幸太郎知事が3月10日の会見で行った発言だ。

独自の対策で感染拡大を防ぎ、花見も推奨する山梨県の長崎幸太郎知事(時事通信フォト)

独自の対策で感染拡大を防ぎ、花見も推奨する山梨県の長崎幸太郎知事(時事通信フォト)

「送迎会、歓迎会あるいはお花見につきましては、現在山梨県は感染状況が収まっていますので、ぜひ大いにやっていただきたいと思いますが、一方で、感染拡大リスクも引き続きあるわけです」

 こう言った後に、「ルールをしっかりと守っていただきたい」として具体的な対応についても触れていた。

山梨県の長崎知事の「花見推奨」対応にクギを刺した加藤官房長官(時事通信フォト)

山梨県の長崎知事の「花見推奨」対応にクギを刺した加藤官房長官(時事通信フォト)

 この知事発言の翌日、記者団から山梨県知事発言について問われた加藤勝信官房長官は、「詳細を承知していないので、個々のコメントについては差し控えたい」としながらも、

「政府としては内閣官房から全都道府県に対し、年度末に向けて行われる行事などについて事務連絡をすでに発出している。こうした中身を踏まえた対応を引き続きお願いしたい」

 と述べた。大新聞は官房長官発言を「山梨県知事発言にクギ」と報じた。これに対して長崎知事はこう反論した。

「政府がやるべきことは、田舎の歓送迎会にいちいち口出しすることではなくて、もっと大きなことに気を配っていただきたい。そもそも感染防止対策の最前線の責任は各県の知事にあるわけですから、我々山梨県の状況を見て、歓送迎会、お花見は全く差し支えないと、注意をしながらであれば差し支えないと、そういう話をすることのどこが悪いんだと」

 各県の実態を踏まえない政府の一律的、一方的な自粛要請に我慢ならない様子だ。さらに、3月16日にはこんな発言も。

「県や県民が求める感染防止のルールを守ったうえで、静かに桜や桃の花を愛でていただき、豊かな時間を過ごす場を提供したい」として、緊急事態宣言解除後の1都3県からの来訪を歓迎する考えを示したというのだ。

 なかなかの対応である。山梨県は歓送迎会やお花見について「必ず守ってほしいこと」として、(1)感染対策のできたグリーン・ゾーン認証施設を選ぶ(2)なるべく少ない人数で、普段一緒にいる人と(3)体調が悪い人は参加しない(4)短時間で、飲み過ぎない(5)斜め向かいの席かパーテーション越しに(6)席の異動やお酌はしない──などのルールを3月10日付で公表している。

 一連の独自の感染症対策が功を奏し、山梨県内の1週間の新規感染者数(3月12~18日)は9人、重症者はゼロとほぼ抑え込んでいる。そんな実績があるからこそ、花見・歓送迎会を勧める発言になったのだろう。

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