テレビ局のこの春の改編で、大きく注目を集めているのが朝の情報番組。MCの交代ばかりが話題となるが、コメンテーター陣も新しく起用された人が多い。特に目立つのが20代の若手バラドルだ。その理由についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
* * *
3月29日、今春の新番組『めざまし8』(フジテレビ系)と『ラヴィット!』(TBS系)がスタートしたほか、『ZIP!』(日本テレビ系)の総合司会に水卜麻美アナ、『スッキリ』(日本テレビ系)のMCに岩田絵里奈アナが就任するなど、各局の情報番組に大きな動きがありました。
ただ、動きがあったのはMCだけではありません。各番組のコメンテーターにも特徴的な傾向が見られるのです。
『めざまし8』のコメンテーターに29歳のトリンドル玲奈さんと21歳の井上咲楽さん、『スッキリ』の木曜コメンテーターに22歳の池田美優さん、『ひるおび!』(TBS系)の月曜コメンテーターにトリンドル玲奈さん、水曜コメンテーターに26歳の朝日奈央さん、金曜コメンテーターに21歳のトラウデン直美さんが就任しました。
その顔ぶれはトラウデンさんを除けば、バラエティを主戦場とする20代の女性タレントばかり。しかも新番組の『めざまし8』や、堅いイメージのある『ひるおび!』にも起用されていることに驚かされます。なぜバラドルたちが情報番組のコメンテーターを務めるようになっているのでしょうか。
見た目の華とバイプレーヤーのスキル
前述した20代バラドルたちの起用理由に「若さ」があることは間違いありません。『めざまし8』の谷原章介さんは48歳、『スッキリ』の加藤浩次さんは51歳、『ひるおび!』の恵俊彰さんは56歳とMCは40・50代に集中。コメンテーターも40~60代が大半を占め、若くても30代だったため、20代女性のコメントとビジュアルが求められているのです。
基本的に平日の帯番組を支えている視聴者は高齢層であり、これまで世帯視聴率の獲得に貢献してきました。しかし、昨春の視聴率調査リニューアルで視聴者の詳細なデータが得られるようになり、スポンサーの求める20代などの若い視聴者獲得が急務になりました。その対策として同世代で親近感のある20代バラドルが起用されているのです。昨秋から『バイキングMORE』(フジテレビ系)に29歳の高橋みなみさんがレギュラー出演していることからも、その傾向がわかるでしょう。
ただ、20代バラドルたちの魅力は、若さや見た目だけではありません。彼女たちはふだんトークのプロである芸人たちに混じって仕事をしているため、コメント力と反応のよさは芸能界の中でもトップクラス。しかも自分のコメントがカットされてしまう経験を重ねてきたため学習能力が高く、流れに沿った適切な発言をしたり、他の出演者とは異なる角度から話したりなど、短いコメントでインパクトを残すことに長けています。