田中角栄は1972年の総裁選で福田を下し、総理の座に就く(時事通信フォト)
福田もまた田中に一目置いていたと、政治評論家の小林吉弥氏は語る。
「福田は、『角さんとサシで会うのは嫌だ』と言っていました。田中の迫力にやられてしまいかねないと感じていたのでしょう。私も幹事長時代に間近で見て、その迫力に圧倒されたからよく分かります」
角福戦争が日本政治に与えた影響は大きかった。
「角福の対立は政治にダイナミズムをもたらした。田中は積極財政の高度成長を訴え、一方の福田は安定成長を唱え、両者ともにその主張を譲らず、切磋琢磨して政治を活性化させました。
今は政治家が国民の顔色ばかり窺っていて、『俺はこの政策をやる』『俺はこういう国を作る』という気概が見えません」(同前)
※週刊ポスト2021年4月16・23日号
角福の対立は政治にダイナミズムをもたらしたという(時事通信フォト)