宇宙から見た地球(写真/AFLO)
世界的な宇宙開発計画に日本が貢献できている
──現在、ISSには野口聡一さんが滞在しています。
2人の日本人飛行士がISSに滞在するのは一つの縁ですが、見方を変えると、それだけ日本の宇宙開発が国際宇宙ステーション計画に貢献しているということでもあります。「きぼう」日本実験棟の運用や補給船「こうのとり」などで果たしてきた成果ですね。今回のミッションもまた、ゲートウェイやアルテミス計画など、日本が月やその軌道での宇宙開発に参画していく上で、「これだけの仕事をISSで続けてきた」と世界にアピールする意味がある。そう意識しながら仕事をしたいと考えています。
──月での有人宇宙開発が始まっていくなか、宇宙飛行士に求められる役割についてどのように考えていますか。
時代によって、これまでも宇宙飛行士の役割は変わってきました。月でのミッションが始まれば、宇宙飛行士という仕事には、かつてのように再び探検家的な要素が強まっていきます。また、未知なる世界へ対応していく一方、ISSの飛行する地球低軌道は民間に門戸が開かれ、様々な立場の民間の人たちが活用していくようにもなるでしょう。私たちの仕事には、そうした新しい時代の水先案内人としての役割もあるのだと思っています。
取材・文/稲泉連
※週刊ポスト2021年4月30日号