堤清二(時事通信フォト)
しかし、やがて2人のカリスマ経営者としての命脈は尽き、ともに経営を退く。『セゾン 堤清二が見た未来』の著者である鈴木哲也・日経MJ編集長は、その頃の秘話を語る。
「セゾングループが解体の過程にあった頃、中内さんが堤さんに宛て毛筆の手紙を送りました。『今とてもつらい状況にあります。しかし、もう一度、何かいっしょにやりましょう』という内容でした。
一方の堤さんは中内さんが亡くなった時、『日経ビジネス』に追悼の思いを語っています。『経営者の価値、値打ちというものは、その経営者が社会にどんな新しい価値をもたらしたかで決まるのではないでしょうか。その意味では、中内さんがもたらした価値は大きい』(2005年9月26日号)と。ライバルがいつしか同志に似た感情を抱くようになったのでしょう」
まさしく、兵どもが夢の跡。
※週刊ポスト2021年5月7・14日号