ビジネス

中内功vs堤清二 ダイエー出店予定地に「西武百貨店寮」を建てた意地

個性が全く異なる2人のカリスマによって日本の消費文化は花開いた(写真は中内功/時事通信フォト)

個性が全く異なる2人のカリスマによって日本の消費文化は花開いた(写真は中内功/時事通信フォト)

 昭和の時代、ダイエーグループを率いて総合スーパーによる流通革命を成し遂げた中内功。同時代にはイトーヨーカ堂の伊藤雅俊、イオンの岡田卓也らが鎬を削ったが、中内自身がライバルとみなしたのは、西友、西武百貨店、パルコなどのセゾングループを率いた堤清二ただ一人だったという。ダイエーで中内の秘書や経営企画本部長を歴任し、退社後はレコフ社長も務めた恩地祥光氏が証言する。

「セゾンの事業にはロマンがあったでしょう。ああいう新しいこと、大胆なことが中内さんは大好きでしたから。他はただの敵で、ライバルとして意識したのは堤さんだけでした。中内さんは堤さんに共通点を見出し、特別な感情を抱いていたと思うんです。それは、二人とも父親は弟のほうを重用したということ。

 中内家はサカエ薬局という家業を営んでいましたが、社長は次男の博さんが継いだことから独立し、ダイエーを興しました。一方の堤さんも父の康次郎さんが弟の義明さんに西武鉄道などの主要事業を継がせたことで、セゾングループを始めた。そこに相通ずるものを感じたのではないでしょうか」

 その一方で、“西のダイエー”“東の西武”と並び称された両者は、小売業界の覇権をめぐり熾烈な戦いを繰り広げた。

「1980年に西友は、スーパー・マルエツと提携交渉をしていましたが、その基本合意書が交わされる数日前、マルエツのオーナー家の意見対立を利用して中内さんがこれをひっくり返した。

 堤さんに逆転されたケースもあります。札幌の老舗デバート・五番館をめぐっては、ダイエーが1981年に業務提携を発表しましたが、将来の傘下入りも含めて資本の話し合いが行なわれる直前で白紙撤回されたのです。裏で堤さんが労働組合を突き上げて交渉を逆転させ、翌1982年に西武百貨店との資本業務提携を発表されました。

 この頃の意地の張り合いは凄まじく、1981年にダイエーが所沢市に出店する際、出店予定地のど真ん中に突然、『西武百貨店寮』と称する掘っ立て小屋が建ったのです。明らかな出店妨害ですが、中内さんは諦めず、その寮を取り囲むようにコの字型の建物に計画変更し開店させました」(恩地氏)

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン