10年前にも殺人未遂事件を起こしていた(共同通信社)
「学校から電話がかかって来て『明日来てください』と言われた。息子に聞くと『おもちゃだよ』と言われたのでおもちゃの猫だと思っていた。翌日学校に行くと『ナイフを持っています』と言われてショックを受けた。たとえおもちゃでも、首を落とすなんて、と、ナイフを取り上げ母屋の二階にしまいました」(公判での母親の証言)
母親によれば、呼び出された学校で学年主任から「今度は人をやるんじゃないですか」と言われたともいうが「そんなことをするわけないでしょう」ときっぱりと反論したのだという。
「息子は小学5年生の頃からパソコンを使っていた。ある時画面を見たら、猫を茹でる動画を見ていた」(同)
小動物を殺傷するという“兆候”を高校は重大に捉えていたが、母親は息子の「猫はおもちゃだった」という言い分を信じ、閲覧していた動画の内容も、殺傷行為も、大きく捉えることはなかった。そして殺人未遂事件に発展したのだった。法廷で彼の様子を見ていた傍聴人は当時の容疑者の様子をこう振り返る。
「法廷では後ろ姿しか見ることができませんでしたが、痩せ型の長身。おかっぱ頭で、すごく頻繁に髪の毛をいじっていたのが印象的です。『~~じゃないっすか』など感情の起伏なく淡々と答え、どこか他人事のような受け答えに聞こえました」
容疑者本人は「緊張するとそうなる」と証言していたというが、口元が緩みニヤついていたことも、公判で取りざたされた。
「犯行時にニヤッとしていたと娘が言っていた。審判のときもニヤッとして、弁護士にたしなめられていた」(被害者の母親の陳述)
「調書を読んでいるときに君の口元が緩んでいるように見えたけど?」と裁判長にも問われ「ちょっと思い出しちゃって」と答えていた容疑者は、被告人質問で殺人衝動についてこのように語っていた。
「(他人と違う自覚は)あると思う。事件を起こしたり。趣味好みが人と違う。(趣味というのは)放火をしたり、刺したりすること。今でも時々、殺そうと考える。勝手に(頭に)出て来る。いまのままだと、またやる。拘置所で想像する。またやっちゃうし、捕まりたくないから(自分を)変えたい」
家庭裁判所の調査記録などでも、攻撃衝動と性的衝動が結びついていることを指摘されている。当時の彼は、人を傷つけることで性的興奮を得ていたという。それは公判で被害者の代理人弁護士から“拘置所での生活”について問われた際も、はっきりと答えた。
代理人「拘置所で雑誌買ってますか? グラビアを見てどう思いますか?」
容疑者「殺すよりは(興奮度合いが)下」
代理人「自慰行為もしますよね。水着を見てしますか?」
容疑者「よくわかんない。その人を殺すってこと(を想像して)」
代理人「事件の何を思い出す?」
容疑者「刺してるあたり。殺したいとかもあった」