脳の活性化に有効性があるといわれるゲーム
バランスのいい食事で脳寿命を延ばす
バランスのよい食事が重要です。医学的には「これを食べたら認知症にならない」といった特効薬のような食べ物はありません。ただ、認知症のリスクを高める糖尿病や高血圧などの生活習慣病を治すことで、脳の健康寿命は確実に延びます。生活習慣病を予防・悪化防止する食生活を実践し、食べ過ぎ、酒の飲み過ぎ、塩分の摂り過ぎなどを避けましょう。
デュアルタスクが脳を刺激する
2つの作業を同時に行なうことで脳は活性化します。認知症予防策としてデュアルタスク(二重課題)、いわゆる「ながら作業」は、前頭葉を活性化し、脳の働きを維持するのに効果があります。体操しながら頭の中で計算する、散歩しながら歌を歌うなど、運動機能と一緒に頭を使うと脳の別々の場所を同時に働かせられます。「楽しめること」が肝心です。
運動でアミロイドβを溜めない
WHO(世界保健機関)の「認知機能低下および認知症のリスク低減のガイドライン」では、身体活動を推奨しています。また、運動しているネズミほど脳にアミロイドβが溜まらないと証明されています。脳と身体の老化防止は同時に進める必要があります。呼吸しながらゆっくり行なう有酸素運動や大腿四頭筋を鍛えることなどがお勧めです。
【プロフィール】
新井平伊(あらい・へいい)/1953年生まれ。順天堂大学医学部名誉教授。1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学が専門。順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授などを経て、2019年からアルツクリニック東京院長。最新著は『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(文春新書)。
※週刊ポスト2021年5月21日号