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東京国立博物館【1】金銅仏見た壇蜜「体型やポーズにも個性が光ります」

『摩耶夫人および天人像』飛鳥時代・7世紀 重要文化財 東京国立博物館蔵。釈迦の誕生を祝う席で仏像に水などを注いで洗い清める灌仏の儀式で使われた

『摩耶夫人および天人像』飛鳥時代・7世紀 重要文化財 東京国立博物館蔵 。釈迦の誕生を祝う席で仏像に水などを注いで洗い清める灌仏の儀式で使われた

 日本美術応援団団長である美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都・台東区の東京国立博物館 法隆寺宝物館の第1回。2人が皇室へ献納された宝物を見て回る。

山下:明治11年に奈良の法隆寺から皇室へ献納された宝物約300件を収蔵するのが東京国立博物館にある法隆寺宝物館です。1階の第2室は金銅仏『四十八体仏』が中心の構成です。

壇蜜:無邪気な子供のような表情があれば大人っぽい表情もあって、体型やポーズも仏像それぞれに個性が光り、見応えがあります。

山下:あどけない表情で子供のような体型の仏像は7世紀後半以降、白鳳期の特徴です。展示は7~8世紀の仏像が中心。当時は国や人の交流も盛んで仏像にも高句麗や百済、中国などの影響が見受けられます。

壇蜜:仄暗い空間にぽっと浮かび上がる金色のお姿のなんと神々しいこと。

山下:金箔の残りがとてもいい。聖徳太子信仰の聖地・法隆寺で大切に守られてきたことが伝わります。

壇蜜:『摩耶夫人および天人像』は摩耶夫人の袖口からお釈迦様が見えます。

山下:摩耶夫人が木の果実を取ろうと右手を伸ばすとわきからお釈迦様が生まれたという伝説です。右わきから出てくるのはインドの伝統的な神様の観念です。

壇蜜:インドの影響もあって国際色豊か。果実=豊穣の意味もあるのでしょうね。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●東京国立博物館 法隆寺宝物館
【開館時間】9時半~17時(最終入館は閉館30分前まで)※入館はオンラインによる事前予約(日時指定券)制
【休館日】月曜(祝日の場合ならびに2022年1月3日は開館し、翌平日が休館)、年末年始、その他臨時休館あり
【入館料】一般1000円
【住所】東京都台東区上野公園13-9 ※開館情報はHPにて要確認

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年5月21日号

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