土光(左)の「質素な生活」が政治家の心を動かした(時事通信フォト)
土光は「公私混同だ」と言って憤慨したが、居林氏の説得で「一度きりだぞ」と承諾。食事風景をカメラが捉え、「メザシの土光」が全国に知れ渡ることになった。
「この“メザシ”が官僚や政治家の心を動かした。“この人が言うならしょうがない”と支持が集まり、80年代後半の国鉄や電電公社の民営化へと結実していく。80歳を過ぎてやったんだから驚くべきことです。でも、当時の土光さんには、メザシでも贅沢だったんじゃないか。普段は肉も魚もほとんど食べず、自分で畑をやって芋やトマトを作っていましたから」(同前)
自らの信念「個人は質素に、社会は豊かに」を生涯にわたって貫いた。
※週刊ポスト2021年6月11日号