日本酒人気で懸念される「転売ヤー問題」
今のペースでいくと2021年の日本酒の輸出先第1位に中国が躍り出るのは間違いないと思われるが、もろ手を挙げて喜んでばかりもいられないという。どういうことか。ある業界関係者がこう指摘する。
「ネット通販で日本酒が出回っている背景のひとつに飲食店への持ち込みがあります。中国では基本的に酒の持ち込みが認められている店が多く、ネットで購入した日本酒を持ち込んで、みんなで楽しむというパターンがあります。
ただ、ネット通販での販売が増えることには懸念材料もあります。日本酒は流通過程の保存管理が重要なのですが、そのあたりが徹底されないと劣化してしまう。流通業者への指導が行き渡っているのかどうか。
また、ネットで購入した日本酒の持ち込みが増えれば、従来のルートで仕入れてきた飲食店の仕入れが減る可能性もある。やがては、輸出元の蔵元にも影響が出かねない。なかなか難しい問題です」
古酒はコレクションや転売目的で中国人に購入されている
さらに転売問題も指摘されている。最近は日本国内でも日本酒の希少種の転売が問題になっているが、中国人の転売ヤーも目を付けていて、国内販売価格の3、4倍で転売されていたといった情報も流れている。日本酒人気の高まりにつれて、転売ヤーの暗躍が懸念されるところだ。