対面の打合せ代わりにアプリが導入された(dpa/時事通信フォト)

対面の打合せ代わりにアプリが導入された(dpa/時事通信フォト)

 同じオフィスへ出勤しなくても、簡単な打合せや連絡が簡単にできるこうしたビジネスチャットツールは、数年前から話題にはなっていたが、テック系など利用している業種が限られていた。だが、コロナ禍の中でツールの使い勝手がよくなるなど「進化」し、それまでチャットツールとは無縁だった職場にも利用が広まり、ビジネスパーソンをより強力にサポートする「武器」とさえ言われている。しかし、どんな武器でも、それが重かったり、操作が複雑過ぎれば、ただの重い塊、邪魔なだけだ。

「社内のやりとりは全部チャットを通して、となりました。その決定を受けて、業務ごとにチャットのグループを作った結果、自分が参加している社内のグループは50以上になっています。24時間365日、どこかのチャットが常に更新されていて、それに気づいて見るだけでも、ものすごい時間がかかります」

 こう嘆くのは、都内の商社勤務・元沢信吾さん(仮名・30代)。社内のやりとりが一つのチャットツールに統一されているので、複数のチャットツールをいったり来たりしなければならないことを思うとマシだと言うが、それでも業務内容別に分かれたチャットのグループは50以上、個人間チャットの相手はゆうに百人を超えた。さらに、上司らによっていつのまにか新しく別のグループにも加えられていくので、今ではチャットの更新を追うだけで1日が終わってしまうこともあると嘆く。

「慣れれば使いやすくなる、と言われていますが、どんどんチャットに縛られる時間が増え、やることが増えた部下たちは、その対応にてんてこまいで肝心な業務のやり忘れが頻発。チャットアプリから更新を知らせるピコンという音がするだけで頭痛がする、と訴える若い子もいます」(元沢さん)

 革新的で便利だったはずの「チャット」だが、気がついたときには完全にツールに振り回され、仕事も疎かになってしまったというのなら、本末転倒も甚だしい。

 実は私も業務で利用することがあるが、常にスマホやパソコンから通知音が鳴っているような気がして落ち着かない。仕事を忘れるには、一切のデジタル機器を持たぬようにしないと、その呪縛からは逃れられない状況に置かれている。コロナよりもチャット導入による「働き方改悪」の方が辛い、というサラリーマンの不満の声が、パンデミック下で密かに蔓延し始めている。

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