「チズコーポレーション」代表取締役の佳之さん(写真左)はチズさんの実弟の息子に当たる。IT関連企業で役員を務めた後、チズさんより「佐伯を名乗り、会社を継いでほしい」と言われ、2017年に養子縁組をして息子に。7月にはチズさんの夢だったサロンを日本橋・茅場町(東京)にオープンする予定。写真は2019年3月、チズさんと一緒に参加した、ガラパーティの式典で撮影したもの(写真提供/チズコーポレーション)
少しでも苦しまずに、楽でいられるようにと、ドクターに頼んで寝ている時間が多くなるようにしていたという。
「最期は、眠ったまま静かに息を引き取りました。父もスタッフも周りにいましたが、私自身は、ほんの数分ですが間に合いませんでした。それでも、長年自分が寝起きしていた部屋で、愛用の品に囲まれて過ごせたことは、幸せだったと思っています。
賛否両論はあると思いますが、介護の現場はきれい事ではなく、仕方のないことと思いつつも、家族だからこそわがままを言われれば腹も立つ。『家族だから○○しなければならない』との思いだけで向き合えば心身共に疲れ果て、関係が破綻する恐れもあると感じました。
スタッフの負担は、すごく大きかったと思います。体がまったく動かないので、ちょっとしたことでも誰かを呼ばざるを得ません。イライラもするし、苦しいとも言う。それをケアしながら受け止める人の苦労や心労は、在宅看護にしたことで大きくなったと思います。それは本当に申し訳ないですが、スタッフみんなのお陰で自宅で見送ることができて、心から感謝しています」
滋賀県の実家の桜の木の下で眠りたい
チズさんは、以前から「亡くなったら、主人の遺骨と私の遺骨をミックスしてほしい。最期は主人と一体になるのが私の夢です」と語っていた。
「それに、滋賀県の実家の庭にある桜の木が大好きで、その下に眠らせてほしいと、いつも私に言っていたんです。それで、家族葬ののち、しばらくしてから実家に連れて帰って、希望通りにすることができました」
チズさんは病気になる前から“終い支度”を始めていた。