芸能

佐々木蔵之介主演『IP』、テレ朝刑事ドラマの新路線と評される理由

主演する佐々木蔵之介

『IP~サイバー捜査班』に主演する佐々木蔵之介

 今夏クールの連続ドラマが軒並みスタートしたが、定番の刑事モノで注目を集めているのが、佐々木蔵之介主演の『IP~サイバー捜査班』(テレビ朝日系)だ。このドラマについてコラムニストのペリー荻野さんは「挑戦的」と評価する。その理由とは?

 * * *
 医療ドラマに刑事ドラマ、編集者ドラマ、『孤独のグルメ』の新シーズンも含めて、おなじみ感のあるラインナップが揃った今シーズン。五輪中継が入って、視聴者の関心があっちこっちいきそうなこの時期、固定ファンを持つシリーズで手堅くドラマを見てもらおうということだろう。

 そんな中、私が一番「挑戦的だ」と思ったのが、テレビ朝日系『IP~サイバー捜査班』である。

 主人公は、京都府警の「サイバー総合事犯係」主任の安洛一誠(佐々木蔵之介)。サイバー捜査のスペシャリストである彼は、プロファイル担当の平塚係長(杉本哲太)、映像解析担当の川瀬(堀内敬子)、情報解析担当の岡林(吉村界人)らとともに専門分野を活かして、難事件に立ち向かう。

「立ち向かう」と書くと、京都の町を縦横無尽に駆け回るイメージになりそうだが、安洛は、ほとんど外に出ないインドア刑事。いつも作務衣のような青い上着を着て、課内に特設した(?)青一色の壁に行燈や壺などがある茶室のような謎の小部屋の畳にあぐらをかいて、考え事をしている。事件が起きると、各デスクのメンバーに指示を出し、解決の糸口を捕まえるのである。

 その捕まえ方、専門用語はテロップで表示される。このあたりは、「科捜研の女」シリーズで「成傷器照合」「ALSによる遺留品鑑定」「足跡鑑定」「口唇紋鑑定」などと示されるのと同じだが、「IP」が違うのは、その過程のほとんどが「カタカタ」で進むこと。

 先日の新妻失踪事件では、「スパイダーグラフで実態を可視化」と表示されてカタカタ…続いて「行方不明者に関するSNSアカウント検索」でカタカタ…「コミュニティサイトにおけるコネクト解析」カタカタ…「SNS投稿及びメール履歴の文書鑑定」カタカタ…みんなキーボードをたたきながら、捜査するのである。その結果、真相をつかんだ安洛は言う。

「すべてはwebの中にあった!」この決めセリフにも驚いたが、大詰めの場面で銃をかまえた犯人に安洛が「必死に耐えているのは、君も同じじゃないか」と説得したのが画面越しってところにも驚いた。刑事ドラマの定番シーンもリモートの時代なのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

二人とも帽子をかぶっていた
《祝・第一子妊娠発表》小山慶一郎(40)と宇野実彩子(38)が見せていた“ハワイ帰りの幸せなやりとり”「いろいろ行ったよね!」
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
《延長リクエストは断った》田村瑠奈被告の“ホテルで夜遊び”を車で待つ父親の心情「周りから奇異な目で見られても…」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ジャンボ軍団がセレクションに登場。左から金子柱憲、飯合肇、尾崎直道、尾崎健夫(撮影・太田真三)
10年ぶりに勢揃いのジャンボ軍団が語り合った「日本の男子ツアーが盛り上がらない理由」 女子はスターが次々と出てくるのに“ジャンボ尾崎の跡取り”が出ない苦悩
NEWSポストセブン
公判で明らかになってきた田村一家の“地獄の家”の全貌とは
《どうしてここから出られないの…》田村瑠奈被告は現在も「首を拾っただけなのに」と弁護人に伝達、裁判で明かされた“家庭内暴力”「ガムテープが飛んできた」「運転中に首絞め」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
慶應義塾アメフト部(インスタグラムより)
《またも未成年飲酒発覚》慶大アメフト部、声明発表前に行われた“緊急ミーティング”の概要「個人の問題」「発表するつもりはない」方針から一転
NEWSポストセブン
1月23日、トランプ大統領はケネディ暗殺に関連する非公開資料を機密解除する大統領令に署名した(写真=AP/AFLO)
【本当に狙ったのは誰か】「ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件」の記録が完全公開へ 落合信彦氏の著書『二〇三九年の真実』で指摘された謎や不審点
週刊ポスト
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《裸でビリヤード台の上に乗せられ、両腕を後ろで縛られ…》“ディディ事件”の被害女性が勇気の告発、おぞましい暴行の一部始終「あまりの激しさにテーブルの上で吐き出して…」
NEWSポストセブン
引退後の生活を語っていた中居正広
【全文公開】中居正広、15年支えた恋人との“引退後の生活” 地元藤沢では「中居が湘南エリアのマンションの一室を購入した」との話も浮上
女性セブン
親方としてのキャリアをスタートさせた照ノ富士(写真・時事通信フォト)
【25億円プロジェクト】照ノ富士親方の伊勢ヶ濱部屋継承 相撲部屋建設予定地の地主が明かした「6階建てお洒落建物」構想
NEWSポストセブン
水原被告がついた「取り返しのつかない嘘」とは
水原一平被告がついた「取り返しのつかない嘘」に検察官が激怒 嘘の影響で“不名誉な大谷翔平コラ画像”が20ドルで販売
NEWSポストセブン
折田氏が捜査に対し十分な対応をしなかったため、県警と神戸地検は”強制捜査”に踏み切った
《「merchu」に強制捜査》注目される斎藤元彦知事との“大きな乖離”と、折田楓社長(33) の“SNS運用プロ” の実績 5年連続コンペ勝ち抜き、約1305万円で単独落札も
NEWSポストセブン
『東京2025世界陸上』のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
「くすぶって終わりたくない…」 織田裕二がバラエティ出演を辞さなくなった切実な背景《『世界陸上』に緊急復帰の理由》
NEWSポストセブン