テレビ朝日の刑事ドラマといえば、中高年、高齢層にも人気が高い。今年のワクチン接種開始時、まだまだネットが苦手という人が多かったことを思うと、「IP」というタイトルだけでも、かなり挑戦的といえる。
「人と人とのつながりがそんなに大切か」と嫌な顔(佐々木蔵之介はこの役ではほとんどまばたきをしない)で言い放つ安洛の人物像もテレ朝主役刑事には、珍しいタイプだ。ただし、「まずはクラークでターゲットを…」「源流のアカウントを割り出し…」などと専門用語を使い始めるが安洛が、新人刑事古宮山(福原遥)に「要するに見つかったってことですよね」とピシャリと言われる場面は、「こういう用語がわかってなくてもいいんだな」と思えて、ちょっとうれしい。
「わかんなくてもいい」と思うと、古都の町並み、作務衣(時々出てくる安洛の若いころの写真でも同じ作務衣を着ている)、茶室、行燈、壺など古風なものと、最新技術で探り出したモニターの映像のミスマッチも余裕で楽しめるというものだ。新しいテレ朝刑事路線として定着するか。モニターしたい。