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がっちりした体格と着物姿がよく似合う(写真/共同通信社)

 そして、この喜多見医師役が鈴木さんに実によくはまっている。個人的にはNHK大河ドラマ『西郷どん』での西郷隆盛役や、日曜劇場『テセウスの船』(TBS系)の竹内涼真演じる主人公の父親で警察官役以上の当たり役と思えるのだ。

 私だけでなく、多くの視聴者も同感ではないだろうか。災害や事故現場では、時にはレスキュー隊の隊員らとともに負傷者の救出を行えば、レスキュー隊や警察官の制止を振り切って負傷者の手当てに向かうこともある。こういう時、救出に来てくれる相手として、視聴者側が無意識のうちに期待するのは、自分を抱えられるだけの背の高さや体格の良い人物だ。鈴木さんのイメージにぴったりである。そこに誠実で真面目そうな、ほっとする笑顔があれば言うことなしだろう。

 危険な現場でも駆けつけてくれて、一刻を争う時に命を救ってくれる救急救命医に対し、テレビの前の視聴者が期待するイメージと、実際にドラマの中で見る喜多見医師演じる鈴木さんのイメージが一致しているのだから、視聴者は彼にも彼が演じる役にも幻滅することがない。

 脇を固めるキャストも同様だ。チームの崩壊をもくろむ者らに送り込まれながらも、冷静沈着で医療技術が高く医者としての志と正義感を強く持つ音羽尚医師役を賀来賢人さんが演じ、仕事のできる看護師・蔵前夏梅役には菜々緒さん、レスキュー隊の隊長・千住幹生役には要潤さんが配され、どのキャストもいかにも救急救命の現場に携わる人々、という感じだ。こちらが勝手に抱いているイメージを損ねていない。

 医者へのイメージ、救急救命へのイメージ、現場対応へのイメージ、コロナ渦だけでなく予期せぬ天変地異がいつ起こるかわからない昨今だからこそ、理想的で期待を満たしてくれるこのドラマがうけているのだろう。

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