アスリートたちが激しい闘いと感動を残した東京オリンピックが幕を閉じた。数多くの名場面があったが、コラムニストのペリー荻野さんは、「オリンピックとテレビ」について、2つの興味深い瞬間に注目した。
* * *
東京オリンピック閉幕。その日、テレビとオリンピックについてふたつ興味深い瞬間を体験した。
ひとつはアスリートのテレビ出演について。前回、このコラムで『スマスマ』や『みなさんのおかげでした』のような番組がない今、閉幕後、アスリートはどんな番組に出るのかと書いたが、さっそく動いたのが『サンデージャポン』だった。『サンジャポ』は、閉幕を待たずして、アスリートでただひとりボクシング女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈選手をスタジオに招いたのである。
「社会派情報バラエティ」初出演という入江選手。なぜ、この番組に? さっそくみちょぱがぶつける。「なんでサンジャポに出てくれたの?」聞かれた入江選手の答えが素晴らしい。「楽しそうな方たちで…」
番組の個性と「本物のフワちゃんだ!」と笑顔の入江選手との個性とが合致した瞬間を見た。
もうひとつは「閉会式」。 開会式の楽曲について、すったもんだあって、閉会式にはどんな楽曲が使われるのかと思ったら、選手入場の際に聞いた覚えのあるメロディーが。古関裕而さんが1964年の東京オリンピック開会式のために作曲した『オリンピック・マーチ』だった。
5年ほど前、1964年のオリンピックについて取材した際、開会式から閉会式まで、テレビの挑戦だと感心することが多かった。そのせいか、今回のオリンピックについて、私はずっと1964年の東京大会についての紹介やリスペクトが少ないなと感じていたのだ。