気になるカロリーや糖質は?
では最も肝心な味はどうか。海外では脱アル製法のノンアルビールや微アルビールが一般的な中、日本でもようやく登場した脱アル製法による「ビアリー」は、確かに従来のノンアルビールにありがちな変なクセもなく、個人的には飲みやすくかなり美味しいと思える。
アサヒでは通常の「ビアリー」を“黒ビアリー”、「ビアリー香るクラフト」を“白ビアリー”と呼んでいるが、少し気になったのは缶に刻印された100ml当たりの栄養成分表示の内容だった。黒、白両「ビアリー」とも33カロリーと、微アル商品にしてはやや高めだ。
さらに糖質は7.4gと、通常のビールの倍以上ある。味わいを出すための工夫かもしれないが、糖質ゼロビールが人気化する中でこの点を気にする消費者は少なくないかもしれない。あるシニア世代の主婦Aさんも、「確かに味はいいけど、価格、カロリー、糖質ともに下げないとどうかしら」と漏らしていた。
また、「ビアリー香るクラフト」のほうは原材料名の中に香料の表示があり、食品添加物を敬遠する人には気になるかもしれない。
サッポロの「ザ・ドラフティ」はまだ発売前ながら、試飲缶を試す機会があったので味わいを報告しておくと、アサヒの脱アル製法ではなく、麦芽100%ビールを原料にした製法とのことで、こちらも変なクセはなく、美味しい商品に仕上がっている印象だった。
また、「ザ・ドラフティ」は「ビアリー」に比べて12カロリー、糖質も1.2~2.2gと低めで、前述したように第3のビール並みの価格で販売するという点も含めてアドバンテージになるかもしれない。ただし、こちらも栄養成分表示の中に酸味料という記載もあるので、気にする人には気になるかも。
家飲み需要とともにビールのジャンルも増えた
「微アル市場」の可能性
サッポロでは微アルビール市場は将来、「年間1300万ケース(1ケースは大瓶20本換算)の規模が見込める」と弾いているが、ノンアルビール市場の約2000万ケースともども、ビール類全体に占める割合はまだまだ小さい。
だが、アフターコロナになっても、コロナ禍で経験したライフスタイル、ワークスタイルの変容、さらに世界的なアルコール規制の高まり懸念という中で久々に登場した微アルビールは、爆発的なヒットはなくとも、少しずつ確実に伸びていくのではないだろうか。