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リーゼント刑事「見た目で判断されないように人の10倍、20倍仕事した」

“リーゼント刑事”こと元徳島県警警部の秋山博康氏

“リーゼント刑事”こと元徳島県警警部の秋山博康氏

「今も街でよく声を掛けられます。なるべく目立たないようにしているのですが、この髪型ですぐ気づかれてしまう(笑)」。強面を崩し、屈託のない笑顔でそう話すのは、“リーゼント刑事”こと元徳島県警警部の秋山博康氏(61)。今年3月に定年退職後、東京に拠点を移し犯罪コメンテーターとしてテレビ出演や講演活動を続けている。

 秋山氏を一躍有名にしたのは、20年前に徳島市内で起きた「連続父子殺害事件」の捜査だった。

 事件発生は2001年4月。「火災現場で遺体発見」の一報を受け秋山氏が現場に急行すると、焼け跡の住宅に男性1人の焼死体があった。

「ご遺体に首を絞められた跡があり、一目で殺人事件とわかりました。その表情から『なんでお前が……』という驚きが読み取れた。顔見知りの犯行に違いないと思い『絶対に犯人を捕まえたる』と被害者に誓ったのです」

 被害者の息子も同様に殺害・遺棄されており、同一犯による連続殺人事件と認定。秋山氏が専従捜査班を率いて捜査を進めると、被害者に金を無心していた男が容疑者として浮上した。

 ところが、逮捕を目前に捜査班が容疑者宅を張り込み中、男は車で逃亡。以来、所在不明のまま月日が流れた。

「全国に指名手配をかけましたが、情報提供は先細る一方。そんな時、効果的なポスターが作れないかと考え2004年にできたのが、『おい、小池!』のポスターでした」

 交番や駅など街中の掲示板に貼られたこのポスターは大きな話題となった。

「おかげで全国からたくさんの情報が寄せられ、そのたびに現地で確認捜査を繰り返しました」

 秋山氏らは容疑者の指紋の形を覚えるほど捜査に没頭した。しかし、事件は意外な結末を迎える。

「2012年、偽名を使い岡山市内で潜伏生活中だった容疑者が、身を寄せていた女性宅のトイレで急死したのです。『絶対に逮捕して被害者と遺族に謝罪させる』との誓いを果たせぬまま、11年に及ぶ捜査が終わってしまった。この無念は忘れません」

見た目で判断されたくない

 キャリア半ばの2000年、秋山氏は警視庁捜査第一課特殊犯係に出向した。

「警視庁での辞令発布の際、他の捜査員は白シャツに紺スーツでしたが、私はワインレッドのシャツに黒スーツ姿。管理官に『着替えてこい!』と大目玉を食らい、部内報の『捜査一課だより』にも“出向者でふしだらな服装の者がいた”と書かれてしまいました」

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