強肩で注目されている松川虎生
松川の話を聞いていると、各球団の捕手事情はリサーチ済みで、FA取得が近い捕手もしっかりと把握している様子だった。
捕手らしい立派な体躯をしているが、性格はとことん優しく、人望も厚い。守っては強肩で送球動作も速く、打っては高校通算43本塁打と長打に魅力がある選手だ。
「リード面、配球面で、自分にはのびしろがあると思っているし、スローイングにしても、キャッチングにしても、ストッピングにしても、やることはたくさんある。二塁送球などはコンマ何秒を詰めていくだけでプレーの幅が広がる。わずかな部分にこだわって、成長していきたいです」
和歌山大会決勝で最大のライバルに敗れたことを糧にプロへ進むのは、小園と同じだ。
「一度でも甲子園でプレーできたことは宝物になりました。夏に甲子園に行ったチームが一番強い。夏に行けなかったということは、何かが足りなかったということ。それを僕たちに智弁和歌山さんが教えてくれたと思います」
今年のドラフト会議は、10月11日。高知高校の森木大智や明桜の風間など、右の豪腕が注目を集める今年の高校生の中でも、小園はナンバーワン評価だろう。松川もまた世代を代表する捕手だ。
最強バッテリーは今、後輩の練習に参加しながら、心して運命の日を待っている。
撮影/杉原照夫